ピヒラー・クルツラー/ リースリング ヴンダーブルグ [2010]
オーストリアのワインは、フランスワインともドイツワインとも明らかに違い表情と個性をもつ。
昔はただあっさりとしたドライなワインというイメージを強く持っていたが、ラシーヌが輸入するようになりようやく日本でも本来のオーストリアの魅力を理解することが出来るようになった。
ガイヤーホフのようにはっきりとわかりやすい個性をもっていれば理解しやすいのだが、オーストリアの場合個性の差が非常に狭い領域の中にあり認識しづらく感じる場合が多い。だからこそ状態が悪いことで輪郭がぼやけるとわかりにくくなるのだ。そして提供する際の温度も重要で通常よりも若干冷やし目の方が輪郭がはっきりとする。
さて今日の本題であるピヒラー・クルツラー。非常にタイトで透明感のあるワイン、ちょっと他の国にはないタイトな中に独特の厚みがあり旨みが隠れている。多分気候的に非常に冷涼なため果実が熟すのが非常に遅く成熟度がちょうど良くなる頃のバランスが他の国とは全然違うのだろう。今後温暖化の影響で多少変化がみられるだろうが、リーズリングでありながら全くリースリングらしい特徴が感じ取れないのは熟成が足りないとみるべきなのだろうが、それがある意味オーストリアの特徴の一つともいえるのかもしれない。リースリングの特徴があまり出ていないとは言っても今若い時期の飲み頃であり非常にバランス良く独特の個性とは違った魅力を持っている。
ドイツ的なちょっと硬派なイメージで、ドライ系のワインが好きな人は当然この傾向にはまってしまうのだろう。このてのオーストリアワインの真の姿を見るためにはもっと寝かせてみなければ分からないようだ。
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